UXデザインの扉を開こう
今回は、TDCソフトが提供するUXデザイン関連研修のなかから、講義、実践を通してUXデザインの基礎的な要素を学ぶ「UXデザイン基礎研修」を紹介する。
「UX(ユーザエクスペリエンス)」は直訳すると、「ユーザ体験」という意味である。ユーザ体験とはユーザが、製品、システム、サービスを知ってから、利用中、利用後振り返っている間の体験を指す。つまり製品、システム、サービスを利用していなくても、認識しているときに起きる全ての体験はUXと捉えることができる。このUXを設計することをUXデザインと言うが、TDCソフトでは「ユーザのことを本質的に理解・共感して、モノではなくコトを考える」と解釈し、研修を通して受講者に伝えている。
UX(ユーザエクスペリエンス)デザインに似た用語として、UI(ユーザインターフェース)デザインがある。この2つの用語は密接に関連しているが、別のものである。UIデザインは、「製品、システム、サービスを利用した際に、何かの目的を達成するための操作や手段」に関わる部分の設計を指しており、情報の伝わりやすさ、見た目や配色などを取り扱う。UXデザインは先にも述べた通り、製品、システム、サービスの利用前後を含み、認識しているときに起きる全ての体験を指している。したがって、UXデザインはUIデザインを内包しているということを、ご理解いただきたい。
現代のビジネスシーンにおいて、デザイン人材の必要性が重要視されるようになってきている。デザイン人材の育成について、経済産業省(※)をはじめ、多くの企業で取り組みが行われている。(※出典:高度デザイン人材育成の在り方に関する調査研究報告書 概要版(経済産業省 2019年))
これまでは、製品やサービス作るときに、優れた機能を盛り込んだり、価格を安価にすることで、ユーザを惹き付けることができた。しかし、モノが溢れる現代において、機能と価格だけでは人々を惹き付けることが難しくなってきている。昨今はユーザの潜在的な課題を把握し、ユーザの真のニーズや期待を理解することが重要である。これらに適合した解決策を提供することこそが、ユーザが満足する体験に繋がる。「ユーザが満足する体験」を提供することは、他社との差別化となり、ビジネス目標の達成や企業価値の向上にも繋がる。この研修では受講者が、UXデザインについての正しい知識と実践方法を身に着け、「ユーザが満足する体験」を考えられる状態となれる研修を目指して、コースの設計を行っている。
本研修のカリキュラムは、講義1時間、ワークショップ6.5時間となっており、体験を通じ理解を深める研修となっている。
初学者の方でも、講義内容を正しく理解いただけるよう2つの工夫を行っている。
講義の冒頭では、UXデザインを実践するためのマインドセットや、ユーザを中心に考えるということはどういうことか、UXデザインがなぜ必要なのかという説明から始まる。受講者全員が、UXデザインがなぜ必要なのか、ユーザ中心とはなにかを理解したところで、ISO規格におけるUXの定義とTDCソフトが解釈した内容を説明する。
また、世間ではまだまだUX=UIと誤解している方が多くいる。誤った認識のままでは、取り組み方を誤ってしまったり、十分な効果が得られなくなったりしてしまう。受講者が正しい理解が得られるよう、UIとの違いについても併せて説明している。
UXをデザインするにあって、どの様な考え方を持つべきか、どのような手法をとるのかを説明する。また、受講者の中には、これからUXデザインを実践していこうという方が多くいるため、UXデザインに取り組む価値や、メリット、UXデザインに関する事例も説明する。講義にてUXデザインの定義、考え方、手法、価値やメリットについて理解いただいた後、ワークショップに入っていく。
ワークショップでは受講者を3~5名のグループに分けて、UXデザインの一連の流れを実践する。講義だけでは、上手く実践できなかったり、躓いてしまうポイントがあるため、講師が各グループを巡回し、知識の定着を促進させつつ、ワークのフォローアップをしている。
1つ目のポイントは、自分たちがターゲットとするユーザの理解・深堀を行い、グループの共通認識としていく、ユーザモデリングである。ユーザモデリングは、以降のUXデザインプロセス全体の流れに影響を与える、重要な部分である。とある場面のユーザの言動を想像した時に、グループ全員の考えが一致するまで、認識を合わせる必要がある。ユーザの表面的なニーズは、グループの中でも意見が出やすく把握が容易だが、ユーザ自身も気付いていない潜在的なニーズや課題を導出すると、具体的な意見が出づらくなる非常に難しいポイントとなっている。
ワークショップでは、ユーザが普段どんな生活をしていそうか、どんなことに興味がありそうか、という表面的な行動から、なぜその言動を行ったのか、どんな価値観に基づているのか、などユーザの深いところまで考え、グループでターゲットユーザを明確にしていく。ワーク中は講師がグループに対して気づきや、新たな方向性を見出せるようファシリテートするため、初学者の方でもしっかりと成果に繋がるようになっている。
2つ目のポイントは、発見したユーザの潜在ニーズに対してどのような体験を提供すべきかの方向性を見出す、コンセプト化である。コンセプトは提供したい体験の方向性を定めるものだが、初めて考えると、抽象的に表現してしまい、方向性がぼやけてしまうことが多い。また、初学者の場合はシステム、製品、サービスの表面的な機能やUI部分に着目してしまい、ユーザの理想的な体験に着目したコンセプトになっていないことがある。コンセプトが洗練されないまま、製品やサービスを作った場合、ユーザに喜ばれないものを作ってしまうことにつながる。
ワークショップ内では、講師による課題や体験の言語化や、抽象化/具体化、コンセプト構文のアドバイスなどのサポートを実施。研修の経験を本番で活かせるよう工夫を行っている。ワークショップではこのあと、グループで提供する体験のアイディア出しを行い、実際にプロトタイプとして表現し、ユーザに対してテストを実施、その評価結果から改善を行い、再度テストする流れとなっているが、受講者が理解を深められるよう、カリキュラムの最後まで講師がしっかりとサポートするものとなっている。
研修では異なるバックグラウンドや視点を持つ参加者とチームになり、協力しあって進めていく。雰囲気もさることながら、本番同様、自分では気づかなかった新しいアイデアや視点が見つかることが多い。実際にデザインを行う時も、1人の優れたデザイナーがすべてを考え抜くことより、様々な人々とコラボレーションし、ユーザが喜ぶ体験を検討していくことが多い。その必要性や効果を研修のなかで感じることができるようになっている。
最初は6.5時間のワークショップを長時間だと感じる方もいるが、ユーザの事を本気で考え、喜んでもらえる体験を形にし、評価を受けると、最後にはどこが足りなかったのか、もっと良くできるはずと、受講者の熱気に講師が圧倒される雰囲気となることが多い。ワークショップ後には、「まだまだユーザのことで気付けてない部分があった」、「もっとやりたかった」と一様に口にするほど熱中いただける研修となっている。
1日の研修ではあるが、業務で活用できそうだという手ごたえを感じる受講者の方が非常に多く、受講できなかったメンバにも受けさせたい、展開したいという声をいただいている。
受講者からのアンケート結果を一部紹介する。
TDCソフトで扱うUXデザイン関連の研修は、受講者=ユーザの声に耳を傾け、どの様にしたら受講者が実践できるようになるか考え、カイゼンを続ける、まさに「UX(ユーザ体験)を意識した」研修となっている。UXデザイン関連研修は「UXデザイン基礎研修」の他にも、プロセスや領域毎の研修を提供しており、各研修についての内容のカスタマイズや、研修スタイル(オンライン/オフライン)の選択も承っている。また、UXデザイン以外にもアジャイルやセキュリティ分野の研修もラインナップしている。
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