「UXデザインを
チームの当たり前に
していきたいですね。」
株式会社AEVIC WEB事業部
UniQooOneエンジニアリングマネージャー
針谷 翼氏
株式会社AEVIC 様
”IT技術集団”であるAEVICは、ITコンサルティング、自社アプリケーション・サービスの開発、システムの受託開発等の事業を展開している。その中で、自社開発アプリケーションを手掛けるのが、若き開発チーム「UniQooOne(ユニークォーン)」である。チームは「関わる人々にご機嫌な生活を送ってもらう」ことをMissionに掲げ、ここ数年、ユーザの生活や仕事に密着したアプリケーションを作成・提供している。
チームのマネジャーを務める針谷氏は、TDCソフトのUXデザインサービス体験前の状況を回顧し、「チームでは、よりユーザに喜んでもらえるものを提供するための、体系的な手法や知識を獲得し、開発プロセスに適用していこうと模索していた。その中で、UXデザインの活用が、自分たちに有用であると判断し、スキル習得に取り組み始めたが、自分たちにとって、どの部分が有用なのかわからないまま学習コンテンツなどを学び、効果を実感できなかったり、実践的な経験を積めず、プロジェクトで活かしきれない状態だった。」と語った。
そこで、TDCソフトがプロジェクト管理用アプリケーション「SaqQutto(さくっと)」に対する、ヒューリスティック評価を提案・実施。どの程度改善点があるかを重要度含めて一覧化し、可視化した。また、自分たちでUXデザインを実践できるよう、TDCソフトのUXデザイン基礎研修を受講いただいた。ワーク主体の実践的な研修は、開発チームの知識と経験の底上げとなり、現在は「SaqQutto」の改善を図りつつ、UXデザインを取り入れた”カスタマーファースト”の新しいアプリケーションの企画にも着手。来年の2月のリリースに向けて開発が進んでいる。
アプリケーションの企画・開発を今後も加速させ、よりユーザーにとって価値のあるものを提供していきたいと考えているが、現在は企画・開発経験が少ないため、ユーザが喜んでくれるようなアプリケーションの企画・開発方法が、チームの中で確立されておらず、どのようにすれば”カスタマーファースト”を実現できるか、わかっていなかったという。また、アプリケーション開発時にAEVIC内で行っていたユーザビリティに関するテストでは、問題・課題がそこまで検出できず、ユーザアンケート結果を元に対策を考える方針であった。
今回、TDCソフトは同社に対して「UXデザイン作業支援およびUXデザイン研修」を提供。アプリケーション「SaqQutto」はリリースしたばかりだったため、取り急ぎ評価を優先して実施し、その後、開発チームメンバ全員がUXデザインを実践できるよう研修サービスを提案した。
専門家の観点と具体例
診断書を受け取った時に、専門家である評価者がどういった観点でシステムを見て、評価しているのか理解できるよう、巻末にヤコブ・ニールセン氏(※1)が提唱したヒューリスティック10原則とその具体的な事例を明記。
これにより、診断内容報告時に顧客理解が高まった。
具体的なフィードバックの共有
デザイナーや開発者がアクションしやすくなるよう、特定した60件の問題点について、それぞれ具体的な改善案や行動案を記載し、診断内容報告時に提案した。
これにより、顧客側でも具体的な改善イメージが想像できるようになり、改善検討が進められるようになった。
対話的な学習環境とコンテンツの提供
研修サービスは、開発チームメンバが参加したため、リラックスし、積極的に研修に参加できるよう、慣れ親しんだAEVIC社内の環境を利用し、付箋などを壁一面張れる環境を整えた。
また、チーム内で学習効果(グループディスカッション、ワークショップ)を最大化するため、対面形式での開催を選択した。対話的なアクティビティを多く取り入れることで、受講者は実践的なスキルを身につけられた。
チーム「UniQooOne」のマネジャーを務める針谷氏は当時を思い出し、課題に対し抱いていた2つの想いについて語った。
「1つめは、我々の開発チームは、若者の可能性と挑戦を世界に発信することを目指して編成された、若手メンバーが主体だったが、新しい技術や知識の習得にとても意欲的だった。自分としてはメンバのスキルとモチベーションを上げて、チームのパフォーマンス向上につなげることを重視していた。」
「2つめは、競争の激しい市場で自社のアプリケーションが優位性を保つために、優れたUXが必要だと認識し、チームでUXデザインのスキルを磨きアプリケーションに適用していくことを決めたが、チームにUXデザインの専門家がいなかったため、主に書籍やウェブ情報を頼りにしながら、メンバ毎に実践で必要だと思うスキルを模索して習得に取り組んでいた。自分としては体系化されていない情報で身に着けたスキルが、アプリケーションの改善に役に立つのか不安を感じていた。」
針谷氏から開発チームの現状をヒアリングしていくなかで、「チームとしてもっと、ユーザに喜んでもらえるものを作れるようになりたい」、「SaqQuttoを含む既存のアプリケーションをグロースできるようになりたい」という要望があった。
現状と、ご要望をもとに、TDCソフトが提供している研修の難易度・実践度とUXデザインプロセスのカバー範囲などを説明するなかで、現在のチーム状態に寄り添い、基礎的部分からカバーできる研修コースと、その後のチーム内への展開プランを提案した。
研修受講後アンケートでは「基礎知識から、実践部分の体験までできてとても楽しかった。これまで十分時間をとって習得に取り組むことができなかったので、今後もチームでUXデザインに親しみたくさん意見を出せるようになっていきたい。」や「実践部分の体験を、リリースしているアプリで行いたい。他メンバにもUXデザインの必要性を伝えていきたいので、今日参加した人と協力して浸透させていく。」、また「普段、話し合いを多くするチームではなかったが、研修の中で話し合いに慣れてメンバ同士、積極的に意見を出せるようになった。このコミュニケーションに対する姿勢を今後も活かしたい。」などのメンバからポジティブなコメントをいただき、参加者全員から100%満足という回答結果をいただいた。
収集したアンケート結果は針谷氏にも連携させていただいた。針谷氏は「研修ではチームの半数のメンバが受講したが、受講できなかったメンバにも内容を共有した。現在、チームではユーザ目線で話すということが当たり前になり、ユーザからの問い合わせがあった際にも、ただニーズを取り込むだけでなく、その後ろにどんなインサイトがあるのだろうと考えるようになった。」という。
ヒューリスティック評価を行った「SaqQutto」は、現在1万ユーザが利用するアプリへ成長しているという。グロースフェーズにUXデザインを取り入れたことで、ユーザからの新規利用の問い合わせなどの際に、「とても使い易そうなアプリケーションだと感じたのだが、こういうことはできるのか?」というような、声が届くようになり、UXデザインに取り組んだ成果を感じていると針谷氏はいう。
TDCソフトのUXデザインサービスはどのような企業・組織におすすめかを聞いたところ「我々のように企画・開発を小さいチームではじめ、知識だけでなく、チーム内のマインド醸成やアクションへつなげたいと思っている企業におすすめできる。」と語った。
今後について、「昨年度は9名のチームだったが、今年に入り15名のチーム体制となった。これまで学び・積み重ねたUXデザインを新たなメンバにも共有し、チームの当たり前の考えとして根付くよう引き続き取り組んでいきたい」と想いを語った。