アジャイルを成功に導く8つの準備
アジャイルでの開発を成功に導くために、開発を始める前にチーム全体で価値提供のサイクルを回し続けるための準備を行っておくことが重要です。
なぜそのような準備が必要になってくるのでしょうか?
現代はVUCAという言葉にも表されるように変化が激しく、先の見通せない時代です。また、デジタルデバイスを所持するのが当たり前になり、世の中にモノやサービスがありふれている時代でもあります。
そんな時代でユーザーにとっての価値を生み出すためには、ビジネス側の人がアイデアを考え、そのアイデアを実現するプロダクトを開発側が指示通り作るといった方法では実現することができなくなってきました。
昨今ではビジネス側と開発側が一緒になって、自分たちが達成すべき目的・ゴールに向けて自分たち自身で何をすべきか考え、行動することが求められるようになっており、そのようなチームを自己組織化されたチームと言います。
初めから自己組織化されたチームを作ることはできませんが、何も準備無しに自己組織化されたチームを作りだすことは不可能です。自己組織化されたチームで価値を提供し続けるためには、開発を始める前に準備をしっかり行う必要があるのです。
自己組織化されたチームを作るための準備として以下の8つがあげられます。
この記事ではその内の一つである「チームアライアンス」についてご紹介します。
チームアライアンスとはチームが目指す「ありたい姿」であり、チームとしてのゴールを意味します。
プロジェクトやプロダクトにおいても、ビジョンやゴールを決めて進めます。スクラムにおいてはプロダクトゴールがそれにあたります。
プロジェクトやプロダクトのゴールを達成するためには、本当の意味でチームとして一つになる必要があります。
特にアジャイルを成功させるためには、先の見通せない世界でユーザーにとっての価値を探索・提供し続けるためにはチームとして一つになり、常に同じ方向を向き続けることが重要です。
2016年にアジャイルの本質を再定義しようとシンプルにまとめられたものとして「モダンアジャイル」があります。このモダンアジャイルに記されている原則の一つに「人々を最高に輝かせる」があります。ここで指す「人々」には価値を提供するユーザーだけでなく、最高のプロダクトは最高のチームから生まれるという考えも含まれています。
最高のチームには何が必要でしょうか?おそらくいろんな要素が頭に浮かんでくるのではと思いますが、まず大事なのがチーム全体で「最高のチーム」とは何か?について共通認識を図れているかです。
この「最高のチーム」の共通認識を図るために有用なのが「チームアライアンス」です。
ベストなのはチームが立ち上がった際に実施するのが良いでしょう。チームとして開発などの実作業が始まる前に実施することでチームとして目指す先を共有した上で動き出すことができます。スクラムチームであれば、スプリント0がそのタイミングにあたります。
とはいえ、このページを読んでいただいている方の中には既にチームで開発中という方も多くいらっしゃるはずです。中には自分たちはチームアライアンスを使うことは無いのでは?と感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そんなことは一切無く、チームが既に動き出していたとしてもチームのありたい姿について共通認識を図ることはとても重要ですし、これからの取り組みに効果を発揮するでしょう。
そういう意味ではどのタイミングでチームアライアンスを使用しても問題はありませんし、チームに恩恵をもたらしてくれます。
アジャイルなチームにチームアライアンスを用意することで次のようなメリットが期待できます。
チーム全体のモチベーションに繋がる
チームのありたい姿が打ち出され目指す先の共通認識が図れていると、それを達成したいという内発的動機が生まれ、チーム全体が高いモチベーションを持って開発に取り組むようになります。
チームとして何か判断に迫られたとき、チームとしての振る舞いの方針として確認できる
チームで作業を進めていく中で何か決断を迫られたときに、チームアライアンスでチームの方針を確認して、決断をすることができます。
チームとしてのありたい姿を目指す上でどの決断をすべきか、困難に直面したときどのようにチームとして振る舞うべきかを確認することができます。
ふりかえりの観点として使用することができる
スクラムにおけるレトロスペクティブといったふりかえりにおける1つのテーマとして、チームが設定したありたい姿に向かっていけているかを検査するためにも使用することができます。
また、ふりかえりの結果をもとにチームアライアンスとして設定した内容を見直すきっかけにもなります。
実際どのようにチームアライアンスを作っていけばよいかはお役立ち資料の中で紹介しておりますので、ご活用ください!