2024.04.08

アジャイルを成功に導く8つの準備

プロダクトゴールの作り方

アジャイルを成功させるために

アジャイルでの開発を成功に導くために、開発を始める前にチーム全体で価値提供のサイクルを回し続けるための準備を行っておくことが重要です。
なぜそのような準備が必要になってくるのでしょうか?

現代はVUCAという言葉にも表されるように変化が激しく、先の見通せない時代です。また、デジタルデバイスを所持するのが当たり前になり、世の中にモノやサービスがありふれている時代でもあります。
そんな時代でユーザーにとっての価値を生み出すためには、ビジネス側の人がアイデアを考え、そのアイデアを実現するプロダクトを開発側が指示通り作るといった方法では実現することができなくなってきました。
昨今ではビジネス側と開発側が一緒になって、自分たちが達成すべき目的・ゴールに向けて自分たち自身で何をすべきか考え、行動することが求められるようになっており、そのようなチームを自己組織化されたチームと言います。

初めから自己組織化されたチームを作ることはできませんが、何も準備無しに自己組織化されたチームを作りだすことは不可能です。自己組織化されたチームで価値を提供し続けるためには、開発を始める前に準備をしっかり行う必要があるのです。

自己組織化されたチームを作るための準備として以下の8つがあげられます。

  1. チームアライアンス
  2. インセプションデッキ
  3. プロダクトゴール
  4. プロダクトバックログ
  5. ロードマップ
  6. 完成の定義
  7. ワーキングアグリーメント
  8. DevOps

この記事ではその内の一つである「プロダクトゴール」についてご紹介します。

プロダクトゴールとは何か?

プロダクトゴールは、2020年にアップデートされたスクラムガイドの中で新たに導入されたものです。そのスクラムガイドの中では以下の通り説明がされています。


プロダクトゴールは、プロダクトの将来の状態を表している。それがスクラムチームの計画のターゲットになる。プロダクトゴールはプロダクトバックログに含まれる。プロダクトバックログの残りの部分は、プロダクトゴールを達成する「何か(what)」を定義するものである。
プロダクトとは価値を提供する手段である。プロダクトは、明確な境界、既知のステークホルダー、明確に定義されたユーザーや顧客を持っている。プロダクトは、サービスや物理的な製品である場合もあれば、より抽象的なものの場合もある。
プロダクトゴールは、スクラムチームの長期的な目標である。次の目標に移る前に、スクラムチームはひとつの目標を達成(または放棄)しなければならない。

https://scrumguides.org/docs/scrumguide/v2020/2020-Scrum-Guide-Japanese.pdf

まとめると以下の通りです。

  • プロダクトゴールはプロダクトの将来の状態であり、スクラムチームの長期的な目標である
  • プロダクトゴールはプロダクトバックログに含まれる
  • プロダクトゴールは「なぜ(why)」でプロダクトバックログの残り(アイテムの一覧)は「何か(what)」である

つまり、プロダクトゴールはスクラムでプロダクト開発を進めていく上で、チームが目指すゴールというわけです。

プロダクトゴールはスクラムで定義されている概念ですが、アジャイル開発全般においても「何を目指すのか?」が定義され共通認識を図れるため、スクラム以外のフレームワークを採用した際にも設定すると良いでしょう。

なぜプロダクトゴールが必要なのか?

プロダクトゴールがなぜ必要かを説明する前に、スクラムガイドで定義されているスクラムの価値基準について見ていきます。

スクラムでは、「確約・集中・公開・尊敬・勇気」の5つの価値基準を設定し、これらがどれだけ実現できているかが、スクラムが成功するかに掛かっているとしています。

スクラムの5つの価値基準

プロダクトゴールはチームにとっての「確約」の対象です。「確約」は設定したゴールを必ず達成するという意味ではなく、チームがゴールに向かって全力で取り組むことに「確約」するという意味で設けられています。

ゴールという「確約」はチームに内発的動機を生み出すために役立ちます。内発的動機とはモチベーションの一種で、その人自身の興味関心から内発的に引き出されるもので、本人がやりがいを感じたり、貢献や成長を感じることです。
チーム全体に「このプロダクトゴールを達成することで、ユーザーに素晴らしい価値を届けたい!」というようなモチベーションに繋がるプロダクトゴールを設定することで、チームが自発的に取り組みを行う、自己管理型なチームになることが期待できます。

また、プロダクトゴールにはもう一つの価値基準である「集中」を生み出すこともできます。
プロダクトゴールを達成することに集中させることで、その達成に必要な専門性やスキル、そしてチームとしてのあり方についてカイゼンと成長を促し続けることができます。

プロダクトゴールはいつ準備するのか

実際にプロダクトを開発するための情報源として、バックログを用意すると思います(スクラムにおけるプロダクトバックログ)。このバックログを用意する前にプロダクトゴールを策定するようにしましょう。

「プロダクトゴールとは何か?」の章でも記載しましたが、スクラムにおいてはプロダクトゴールはプロダクトバックログの一部であり、「why(なぜ)」の部分に該当します。したがって、プロダクトバックログを準備する段階でこのプロダクトゴールを設定することが求められている訳です。

プロダクトゴールはアジャイルでイテレーションを回し始める前に準備するようにしましょう。

プロダクトゴールを用意することのメリット

プロダクトゴールをチームで設定することで次のようなメリットが期待できます。

何を目指しているのかチームとその関係者全員で共通認識を図れる
プロダクトゴールはこのプロダクトを作る上での「目的」にあたる部分です。目的がチームとその関係者全員で共通認識が図れているか否かが、プロダクト開発を成功させる上で重要なカギとなります。また、プロダクトゴールを設定して終わりではなく、イテレーションを回す上で定期的にプロダクトゴールを確認する機会を設けることで、常に目的を意識したプロダクト開発をすることができます。

バックログのアイテムを作る上での指標になる
ゴールが設定されていることで、それを達成するためにどんなことを実現しなければいけないか?どんなものが必要か?という観点でアイテムを準備しやすくなります。

バックログアイテムの順序付けをする際の指標になる
バックログアイテムをどの順番に並べるかを考える上で、プロダクトゴール達成を目指すためにより重要なアイテムはどれか?という観点で順序付けをすることができます。

プロダクトゴールの作り方

実際どのようにプロダクトゴールを作っていけばよいかはお役立ち資料の中で紹介しておりますので、ご活用ください!

アジャイル
お役立ち資料

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