ServiceNow コラム

ServiceNowとは?
他ソリューションとの違いをわかりやすく解説!

公開日:2023年5月30日

近ごろCMでも目にするようになったServiceNowですが、具体的にどのようなことができるのか?活用効果をもっと知りたい!と感じている方も多いのではないでしょうか?ServiceNowは社内の幅広い業務フローを標準化するだけでなく、ローコード開発や外部システム連携も簡単にできるプラットフォームです。本記事ではServiceNowとは何かを他のソリューションと比較しながらわかりやすく解説します。

ServiceNowとは?

ServiceNowはアメリカのカリフォルニアで2004年に創業したグローバル企業ServiceNow, Incが開発しました。2013年には日本法人を設立しています。

ServiceNowがどのようなサービスかというのは、同社を設立した経緯を紐解くと理解しやすくなるでしょう。創業者のFred Luddy氏がエンジニアを目指してアルバイトをしていたある時、大量のデータ入力をする事務員のために処理を簡素化するプログラムを作ったところ、その事務員が非常に喜びました。この体験が「人にしかできない付加価値の高い仕事を創造する」という企業のパーパス(存在意義)につながっていきます。

この原体験をもとに、社内のあらゆる情報を活用し、業務を効率化するプラットフォーム(現在のNow Platform)を開発しましたが、当時はこうした開発プラットフォームが理解されませんでした。そのためこれまでに開発したことのあるITサービス管理をNow Platform 上で動作するSaaSとして売り出しました。これがServiceNowの原点です。

その後ITサービス管理の使い勝手の良さが評判になり、「他の分野のベストプラクティスもSaaSとして提供してほしい」という顧客からの要望が増えました。そのため人事、カスタマーサービス、セキュリティといったSaaSの機能を拡充していき、現在の姿になっています。

開発環境を提供する「PaaS」とアプリケーションを提供する「SaaS」でサービスが分かれていることが多いのですが、ServiceNowは一連の経緯があったからこそ、PaaSとSaaSの両方を備えるサービスに成長したと言えるでしょう。

ServiceNowは社内業務について、IT、従業員、顧客といった分野でベストプラクティスが用意されており、導入することで社内業務を標準化できます。特にITの分野におけるITサービス管理(ITSM)はITIL(ITSM のためのベストプラクティスフレームワーク)に準拠しており、組織のサービス管理や運用の品質を向上させることができます。

また開発者向けにローコードで開発する「App Engine」や定型業務を自動化する「Automation Engine」等が用意されており、社員のアイデアを活かしたアプリの開発が可能です。

ServiceNowが提供するSaaS、PaaSの機能とデータベースはNow Platformという単一のプラットフォーム上で提供されます。単一のプラットフォームで利用できるため社内に点在する情報が集約され、社員や外部企業、顧客とシームレスに連携できるようになります。

ServiceNowの活用方法

ServiceNowは社内業務の広い範囲で活用が可能です。ここではServiceNowの原点ともいえるITSMを中心とした活用方法をご紹介します。まず情報システム部門の負荷を軽減し、削減できた時間を使ってServiceNowを全社に定着させる取り組みを行うという循環が生まれます。

(1) 障害発生リスクを抑制したい

情報システム部門で負荷がかかるのが、システム障害の対応です。特に製品のシステム障害は、ブランド価値の低下を招く恐れがあり、発生リスクを抑制するのは重要な課題です。
システム障害が発生する原因の90%がシステムの変更だとされています。どの変更が障害に影響しているのか、調査に時間がかかるというのは、多くの企業の悩みの種です。 ServiceNowのITSMでは、変更管理とリリース管理を行うことで、いつどのような変更が行われたのかを可視化できます。この変更・リリースとインシデントをシームレスに管理することで、インシデントが発生した際に原因となる変更の特定が簡単にできるようになります。

(2) ITインシデント対応を迅速化したい

インシデントが発生した時は、対応時間をできるだけ短縮して一刻も早く正常稼働に戻す必要があります。しかし障害発生時に担当者に連絡が行くまでに時間がかかってしまう、類似の障害が過去にあったにもかかわらず、検索できずに原因究明に時間がかかる、複数の部門で対応しなければならず、コミュニケーションがうまく取れない、といった様々な課題がありました。

ITSMにはインシデントの関連付けや自動アサインといった機能があります。複数のインシデントを関連付け、リストで表示できるため、複数の部門で対応した際にもシームレスに管理できます

またインシデントの影響範囲の特定にはIT運用管理(ITOM)も効果的です。ITインフラの構成情報を自動で収集するため、影響範囲を素早く確認できます

(3) 情報流出に備えたい

企業の情報流出はニュースで耳にすることもよくあります。情報流出の原因は様々ありますが、攻撃者から狙われることが多いのが、エンドポイントの脆弱性です。脆弱性が発見された際に情報流出のリスクがどの程度なのか把握できない、また情報流出が発生した際に経営層に影響範囲について正確な報告ができないといった問題がありました。

ServiceNowのITSMを活用すると、脆弱性情報から修復依頼を担当者に依頼したり、インシデント発生時の情報収集を担当者に依頼したり、といったことが自動で処理されます。そのため調査時間が短縮でき、運用担当者の負荷を減らすことができます。

ServiceNowとその他ソリューションとの違い

ServiceNowは、全社プラットフォームとして、企業の幅広い課題解決を実現することができます。
バージョンアップや新機能により、企業の課題に適用できる範囲が広がり、継続的に大きな価値を生み出します。
ここでは、代表的な社内業務基盤として利用されているソリューションと、ServiceNowの違いをご紹介します。

(1) SFA・CRMとの違い

SFA・CRM等のソリューションは、マーケティング・商談管理・カスタマーサポート・顧客管理等に優れた、顧客接点思考に基づいたプラットフォームです。
一方でServiceNowは、営業支援を中心としたSFA・CRMに対し、社内システムを中心にした設計となります。
ServiceNowではカスタマーサービスマネジメント(CSM)を提供しています。SFA・CRMソリューションだけでは解決できない、顧客の課題を解決するエンドツーエンドのソリューションであることがServiceNowの特長でもあります。ServiceNowには「サービスカタログ」機能があり、顧客はサービスポータル上から製品の利用申し込みや問い合わせ依頼ができます。顧客からのリクエストに対応するプロセスを効率化し、顧客満足度を高める仕組みが用意されています。

(2) グループウェアとの違い

グループウェアは、メール、掲示板、スケジューラー、会議室予約といった機能を備え、企業内のコミュニケーションを円滑にすることを目的としたツールです。ServiceNowも全社の情報基盤として機能する側面があるため、グループウェアからの移行でメールサービス等と組み合わせてServiceNowを導入するケースも増えています。
ServiceNowとグループウェアの大きな違いは、外部のSaaSも含めたAPI対応システムや、社内システムとの連携が可能であるということです。グループウェア上で構築されたシステムやデータベースだけでなく、利用しているSaaSや基幹システムを始めとする社内システムと連携することで、情報へのアクセスと処理の利便性が高まります。
またグループウェアを活用する企業では、業務で必要なアプリケーションをグループウェアの基盤で作りこんでいるケースがあります。ServiceNowでは、ローコードで開発できる「App Engine」が搭載されており、グループウェア上の複雑なアプリケーションも移行することができます。社内システムだけでなく外部のクラウドサービスとの連携も容易にできるため、単なる機能の置き換えだけでなく、改良することで業務を大幅に効率化することも可能です。

(3) コールセンターシステムとの違い

コールセンターシステムとは、顧客から電話で問い合わせがあった場合に各オペレーターに振り分けたり、自動応答をしたり、電話番号に紐づく顧客情報を自動表示したりといったCTI機能のほか、対応履歴を管理するCRM機能、録音機能やFAQ検索等で問い合わせへの対応力を高める機能が搭載されています。
コールセンターシステムは業務に特化しているため、全社基盤となるServiceNowとは性質が異なりますが、コールセンターシステムとしてServiceNowを活用した事例は少なくありません。ServiceNowでコールセンターシステムを構築する場合は、CTI機能を提供するソリューションと連携するのが一般的です。
従来のコールセンターシステムと比較してServiceNowが優れている点は、オムニチャネルに対応できるという点です。顧客情報、対応履歴、FAQといったコールセンターに必要となる全ての情報を集約することで、顧客は電話以外でもサービスサイト上のマイページから問い合わせフォームやチャットを利用してナレッジを参照することができます。
また顧客からの問い合わせについて、対応依頼や回答を自動化することで、オペレーターの負荷を大幅に削減できます。回答内容を関係者で確認・承認するプロセスを標準化し、処理状況をリアルタイムで共有できるため、管理者が対応状況を一目で管理できます。さらに顧客の問い合わせを外部企業と共有することで、迅速な対応が可能です。

全社横断で標準化・効率化できるのがServiceNowの魅力

ServiceNowは課題解決に特化するのではなく、全社横断で業務プロセスを標準化・効率化してこそ真価を発揮します。
社内では、基幹システムを始めとしてさまざまなシステムが稼働しています。こうしたシステムのデータを異なる部門の社員、グループ会社、外部企業、顧客がシームレスに活用することで、社内業務を効率化し、人がより付加価値の高い仕事に専念することができます。社内のあらゆる情報を活用するための基盤となることで、ServiceNowのポテンシャルを最大限に引き出すことができるでしょう。

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