ServiceNow コラム

ITの活用が進み、社内には多くのシステムが稼働しています。にもかかわらず非効率な作業があちらこちらで発生していることも少なくありません。こうした問題を根本的に解決するには、業務やシステムをつなげて非効率な作業を排除するのが一番の近道です。ServiceNowのワークフローは業務プロセス全体をつなげてデジタル化することで、効率化だけでなくユーザーエクスペリエンスを高めることができます。ServiceNowのデジタルワークフローにはどれだけのポテンシャルがあるのか、解説していきます。

ServiceNowの「ワークフロー」とは?何ができるのか?

ServiceNowはTVコマーシャルでも流れていることもあり、最近になって急速に認知が広まってきているのを感じます。しかしServiceNowは、課題を広く解決できるソリューションであるため、お客様の方でもソリューションの具体的なイメージをつかみかねているようです。

ServiceNowを一言で説明すると「ワークフローのシステム」となるのですが、日本のお客様の場合「ワークフロー=申請承認システム」と捉えている場合が多いのではないでしょうか。
もちろんServiceNowには申請・承認といった狭義のワークフローを定義することも可能です。しかしServiceNowの最大の魅力は、複数のシステムをまたぐ一連の業務やナレッジをつなげられることです。企業がこれまで構築してきたレガシーシステムは、サイロ化してシステム間のつながりがブラックボックスになっているケースも少なくありません。アーキテクチャーが陳腐化して場所を選ばない働き方に対応できないことも多いでしょう。

ServiceNowを使えば、このような問題を解消し全体最適を図ることができます。作業が効率化されることで人的リソースが確保でき、変化の激しいビジネス環境についていくことが可能です。デジタル競争の勝者となるには、ServiceNowのようなデジタルワークフローを選択することが重要なのだと思います。

ServiceNowで提供されている幅広いワークフロー

ServiceNowで提供されているワークフローは、ITユーザー向け、従業員向け、顧客向けの業務ワークフローに分類されます。ServiceNowではITユーザー向けに特化したワークフローが知られていますが、それ以外でもあらゆる業務に適用できます。

ITユーザー向けワークフロー(テクノロジーワークフロー)

IT、リスク管理、セキュリティ運用を単一のプラットフォームに集約します。代表的なワークフローは、ITILに準拠したインシデント対応を行う「IT Service Management(ITSM)」です。社内のシステム全体についてインシデントの起票からクローズ、起票をもとにしたナレッジ作成までをカバーします。障害の属性を解析して担当者を自動でアサインすることで、作業効率がアップするのも大きなメリットです。

またセキュリティ強化の面では、ITSMと組み合わせて「IT Operations Management(ITOM)」「Security Operations(SecOps)」を活用できます。ITOMでは構成管理の最新化や資産管理をすることで、社内ITリソースを可視化し、セキュリティ強化します。SecOpsは既存のセキュリティツールと連携して脆弱性やセキュリティインシデントの優先順位付けを行う等、迅速な対応をサポートします。

サイバー攻撃が高度化・巧妙化している中、人手不足でセキュリティ強化にリソースを多く配分できない企業も多いと思います。ServiceNowのテクノロジーワークフローによってセキュリティを強化しつつ、省力化することができます。

従業員向けワークフロー(Employee Workflows)

入社試験を受ける時、内定が決まった時、入社した時、配属された時、異動した時、復職する時、退職する時…従業員はその時々のライフサイクルイベントで必要な手続きがあります。必要な手続きはIT、人事、施設管理、法務等があり複数の部門に申請しなければならない、というケースも珍しくありません。部門ごとに申請のルールが異なっていて、間違えて何度もやり直したり、煩雑になって他の仕事をする時間がなくなったり、といった経験がある人も少なくないはずです。また担当する部署も大きな負担がかかっています。

従業員向けワークフローはこうした課題を解決し、従業員の満足度を向上させるためのものです。代表的なワークフローとしては、「HR Service Delivery」があります。ポータルサイトからさまざまな申請を行い、申請に関連するタスクを管理し、必要なガイダンスを参照することができます。タスクは自分だけでなく、人事・総務担当者のタスクも可視化されるので、申請がどのような状況になっているかがわかります。

この他にも施設予約を管理する「Workplace Service Delivery」や、従業員の健康を管理する「Health and Safety」等があります。

顧客向けワークフロー(Customer Workflows)

最近では顧客接点を充実させることでロイヤリティを向上し、LTV(顧客生涯価値)を最大化する取り組みが盛んです。ServiceNowの顧客向けワークフローでは、CRMやフィールドサービス、注文管理といった顧客接点となるワークフローを部門の枠を超えてデジタル化し、顧客のエンゲージメントを強化します。

例えば顧客からの問い合わせがカスタマーセンターで解決できない場合、内容に応じて各部署と連携する必要があります。連携がうまくいかないと、対応の効率が低下するだけでなく、顧客の満足度が下がってしまいます。ServiceNowなら例えば顧客向けにチャットを用意して迅速に問い合わせの回答やナレッジを得られるような仕組みや、スキルや稼働状況に応じた担当者へのタスク自動割り当て、問い合わせの対応について進捗状況を確認できる機能を提供することが可能です。

顧客向けで代表的なワークフローとしては顧客がマイページから送った問い合わせに対して、複数の部門を横断した対処ができる「Customer Service Management」や、フィールドサービスにおいてタスクやリソース、スキル、資産、場所を管理する「Field Service Management」があります。

ServiceNowのように広範囲の業務に対応できるワークフロー製品は少ないと思います。ServiceNowをうまく活用すれば、分断された情報が可視化され、社内全体の最適化が実現できるでしょう。

ServiceNowデジタルワークフローの核である「連携機能」

これまでご紹介したワークフローに加えてもうひとつ、ServiceNowには核となるデジタルワークフローがあります。それはクリエイター向けワークフロー(Creator Workflows)と呼ばれるものです。ワークフローが提供する多彩なツールがあり、社内のあらゆるプロセスをデジタルワークフローとして再構築することができます。

デジタルワークフローを再構築するためには、システムを再構築する必要があると思われるかもしれません。しかしServiceNowの使い方としては、既存のシステムはそのまま使い、ServiceNowのプラットフォームから既存のシステムをつなげてデジタルワークフローを作るのが最適解です。そのためのツールとして、ノーコード/ローコードでアプリを構築できる「App Engine」や様々なシステムに接続してRPAで反復作業を自動化する「Automation Engine」、プログラミングすることなく外部のシステムと連携するための「Integration Hub」等があります。

外部システムとの接続は、ServiceNowの最大の特徴の一つでもあります。外部システムと接続するAPIも多数用意されており、柔軟な連携が可能です。外部連携に強いServiceNowだからこそ、部門間・会社全体の業務をつなげる基盤として採用されていると言えるでしょう。

ServiceNow デジタルワークフローの実現例

ServiceNowは実際にどのように活用されているのでしょうか。ここでは従業員向けのデジタルワークフローの基盤を構築した例をご紹介します。

企業の課題

この企業では従業員とのエンゲージメント強化に向けて様々な取り組みをしています。その中で最優先課題として認識されたのが、社内の問い合わせです。
社内の問い合わせは、担当者が本来の業務と兼任で対応しています。数が多いと担当者は対応に追われて本来の業務に集中できません。この問題の元凶となっているのが、各種の申請作業の煩雑さと利便性の低さです。わかりにくく、手順が煩雑な申請により問い合わせが大量に発生し、結果として承認が遅れビジネスに影響が生じている状態でした。また転勤や産休・育休のように複数の手続きが時系列で必要なケースにおいて従業員のサポートにバラツキがあるために、混乱が生じていました。

解決するべき姿

この問題を解決するには、わかりやすくシンプルな申請手続きの基盤が必要でした。そこで従業員向けの基盤としてServiceNowを導入。申請手続きのデジタル化だけでなく、手続きに必要なタスクを標準化し、やるべきことや承認状況を可視化して、スムーズに手続きすることができるように設計しました。

実現結果

従業員向けプラットフォームを構築したことで従業員エクスペリエンスが向上し、従業員の満足度が高まっています。タスクが標準化されて迷わずに手続きや判断ができるようになり、申請から承認までの時間が大幅に短縮できました。
当初はバックオフィスのワークフローが対象でしたが、その後は営業部門や開発部門のワークフローにも適用し、社内全体の生産性が向上しています。

ServiceNowを全社・部門横断のワークフローで展開する重要性

ServiceNowワークフローは、特定の部門に閉じた課題ではなく、全社あるいは部門横断で解決するべき課題に活用すると、効果が大きくなります。ServiceNowで人・業務・システムをつなぎ、業務・部門を横断したワークフローをぜひ実現してみてください。業務のライフサイクルをつなげることで新しいユーザーエクスペリエンスが生まれ、これまでとは違う世界が見えてくると思います。

ServiceNowは、どのように展開していくかが重要です。そして進め方はお客様の状況によって全く違うものになります。TDCソフトでは、プロフェッショナルがServiceNowの効果を最大限引き出すようサポートします。ぜひ一度ご相談ください。

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