公開日:2024年11月14日
企業のITインフラやアセットが複雑化・多様化する中で、CMDB(Configuration Management Database)は、その複雑な関係や構成情報を一元管理し、ITサービス管理(ITSM)の基盤となっています。ServiceNowのCMDBは、セキュリティ対応やインシデント対応の場面で非常に役立ちます。本コラムでは、ServiceNowのCMDBがどのようにセキュリティ対応およびインシデント対応を最適化するか、その注意を中心に解説していきます。
セキュリティが増加する現代では、セキュリティインシデントに迅速かつ効果的に対応することが重要です。ServiceNowのCMDBは、セキュリティインシデントの発生から対応までの一連のプロセスを支援し、潜在的な脆弱性やリスクに対する即時的手当てを提供する点が重要です。
セキュリティ対応に関して、攻撃対象や影響を受けるシステムを即座に把握することは非常に重要です。ServiceNowのCMDBには、すべての構成項目(CI)やその関連情報が登録されています。その際、CMDBを利用することで、該当するCIに関連する依存関係やシステムの詳細情報を即座に確認することが可能です。これにより、被害が拡大する前に迅速に対応が取れるため、セキュリティリスクの軽減が期待できます。
CMDBのもう一つの強力な一時は、セキュリティインシデント発生、その影響範囲を受け入れる特定できる点です。たとえば、特定のアプリケーションに脆弱性があった場合、そのアプリケーションに関連する他のシステムやCIも影響ServiceNow の CMDB は、CI 間の依存関係を検討し、影響範囲を直感的に戦略化できるため、被害を受ける可能性のある範囲を正確に特定し、迅速な対策が可能です。
セキュリティ対応には、監査やコンプライアンスの要件に対応する必要もあります。CMDBを活用することで、システムやCIの変更履歴やインシデント対応の記録を一元的に管理し、過去の対応経緯や変更内容をこれにより、監査やコンプライアンス対応が効率化され、適切な対応履歴を証明できるようになります。
インシデント対応においても、CMDBは有効な役割を担っています。障害が発生した際にその原因を特定し、影響を受ける範囲を把握し、迅速に解決するための情報を提供する役割を担っています。
インシデント対応の初期段階で最も重要なのは、障害の原因を突き止めることです。ServiceNowのCMDBを活用することで、影響を受けたCIの依存関係を解消し、障害の原因となっている可能性があります同様に、ネットワークの障害が発生した場合、関連するサーバーやアプリケーション、ネットワークデバイスがCMDBに登録されているため、障害発生源の特定がスムーズにわかります。
たとえば、あるサーバーに障害が発生した場合、そのサーバーに依存している他のシステムやサービスも影響を受けるCMDB を参照することで、該当のサーバーに依存するシステムを特定し、ダウンタイムの影響を考慮して適切な判断を行うことが可能です。
CMDBはインシデント対応後の再発防止にも貢献します。インシデント対応の過程で、CMDBに記録されたCIの構成情報や依存関係を参照することで、インシデントの根本原因を特定し、再発防止策をこれにより、過去のインシデント対応経験を活用し、将来のインシデント発生を防ぐことが期待できます。
ITインフラやシステムがますます複雑化・高度化する現代の企業において、セキュリティ管理とインシデント管理は重要な課題となっています。多くの企業では、ServiceNowのようなITサービス管理(ITSM)プラットフォームを活用し、構成管理データベース(CMDB)を中心にインシデントやセキュリティ対応を行っています。ただし、CMDBを導入していない、あるいは適切に運用していない場合、多くの問題が発生します。 CMDBを利用しないセキュリティ管理とインシデント管理のリスクと課題について詳しく説明します。
CMDBを利用しない場合、IT資産やシステム構成の情報が各部門や個別のスプレッドシート、あるいは異なるツールに分散して管理されることが多く、全体の現象が見えず、セキュリティ対応やインシデント対応が難航する原因となります。
問題点:
• 資産管理の一貫性の欠如: 分散したデータ管理では、どのシステムやデバイスがどのように構成されているかを判断の情報が統一されておらず、正確な認識が困難です。
• 更新の遅延と誤り:手動で情報を管理している場合、システム変更が適切に反映されず、古いデータに基づいた対応を行ってしまうリスクがあります。
• 影響範囲の特定が困難:特定の脆弱性や障害が発生した場合、影響を受ける資産を特定するために多くの時間と労力を費やすことになり、対応が遅れます。
インシデントが発生した場合、その原因特定と対応には迅速な行動が求められます。 ただし、CMDBが存在しない環境では、対応速度と精度が大幅に低下します。
問題点:
• 原因が難しい:CMDB があれば、インシデントが影響を及ぼした構成項目(CI)やその依存関係を可視化することができます。これがない場合、関係性が認識できず、原因の特定に時間がかかります。
• 手動調査のコスト増加:インシデント発生時、関係するシステムやデバイスを一つ一つ確認する必要があり、対応コストが増加します。特に、複雑なインフラでは、このプロセスは非常に非効率です。
• 誤対応のリスク:原因が特定できない場合、適切でない誤った対応が行われるリスクが考えられます。
特に、脆弱性管理コンプライアンス対応において、IT資産の全体的な特徴を把握できないことは大きなリスクです。
問題点:
• 脆弱性のセキュリティ:CMDB があれば、すべての CI が把握されており、特定の脆弱性関連システムを特定できます。これがない場合、脆弱なシステムが失われ、攻撃に対して脆弱になります。
• コンプライアンス禁止のリスク:多くの業界では、IT資産の管理や変更履歴の追跡が求められます。CMDBがなければ、これらの要件を満たすことが出来なくなり、監査や規制のリスクが発生することになります。
• セキュリティ対応の一貫性の欠如:セキュリティインシデントが発生した際に、継続した対応プロセスを確立することが求められます。CMDBがなければ継続した対応プロセスの確立は困難なものとなります。
CMDB がない場合、インシデント発生時のダウンタイムが長くなる傾向があります。これは、影響を受けるシステムの特定が正しく、迅速な対応ができないためです。
問題点:
• 影響範囲の把握に時間がかかる:システム間の依存関係が把握できていないため、どのシステムが停止した際に他のシステムへ影響が及ぶかがわかりません。時間がかかり、復旧が遅れます。
• ビジネスへの影響が大きい:インシデント対応が解消されることで、ダウンタイムが長引き、ビジネスへの影響が大きくなります。 特に、クリティカルなサービスシステムが停止した場合、顧客への影響も深刻です。
• 復旧作業の非効率化:CMDBがあれば復旧プロセスに関しても、関連する CI やシステムを考慮し、迅速な対応が可能です。一方、これが無い場合、復旧作業が手探りになり、時間とコストが増大します。
手動でIT資産や構成情報を管理している場合、人的エラーが発生しやすく、運用の非効率が目立ちます。これにより、インシデントやセキュリティインシデントの対応がさらに固まることになります。
問題点:
• データの不整合:スプレッドシートや複数のツールで管理している場合、データの継続性が失われ、正確な情報を取得することが難しくなります。
• 情報更新の遅れ:手動更新では、最新の変更が反映されるまでに時間がかかり、現状に即した対応が取れないことがあります。
• プロセスの標準化が困難:CMDB がない環境では、標準化されたプロセスが確立しにくく、インシデント対応のばらつきが生じます。
CMDBを導入しない場合、セキュリティやインシデント管理において多くの問題やリスクが発生します。IT資産の可視化が欠けているような場合、インシデント対応が遅れ、セキュリティリスクが増大します。ビジネスの安定と成長にはCMDBの導入と適切な運用が必要です。CMDBは、迅速かつ正確な対応を可能にし、ダウンタイムを慎重にだけでなく、セキュリティリスクを軽減し、ビジネスの継続性を確保するための重要なツールとなります。
ServiceNowのCMDBを活用する上で、効果的な運用と管理が必要です。以下に、CMDB運用におけるベストプラクティスを紹介します。
CMDBに登録される情報は、常に最新で正確である必要があります。セキュリティ対応やインシデント対応において、古い情報や誤った情報が記載されていると、対応が新たなインシデントの原因となります。 CIの変更や更新を随時反映することで、データの正確性を維持することが重要です。
CI の分類を明確に定義し、依存関係を明確化することで、インシデント発生範囲の影響を正確に把握できます。また、CIの関係を可視化することで、インシデントやセキュリティ対応時の判断が容易になります。
CMDBの更新を手動で行うことは、人によるエラーのリスクを増加させ、非効率的です。ServiceNowは他のツールと連携可能なプラットフォームであり、自動化されたプロセスでCI情報の更新やインシデント対応をまた、セキュリティツールとの連携によって、客観的な特定や対応プロセスの自動化も実現できます。
ServiceNowのCMDBは、セキュリティ対応やインシデント対応において非常に重要な役割を果たします。インシデントの即時対応、影響範囲の特定、再発防止など、あらゆる場面での互換性が高く、効果的な運用ができます。正確で最新の構成情報を見極め、運用プロセスを自動化することで、セキュリティおよびインシデント対応の質を向上させることができます。